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兵法三十六計とルノルマンカードから読み解く㉞

  • 執筆者の写真: 言霊占い師りつか
    言霊占い師りつか
  • 4月8日
  • 読了時間: 7分

兵法三十六計第三十四計「苦肉計」とルノルマンカード34番「魚」が示す深淵なる巧智:鑑定への考察

兵法三十六計は、古代中国の兵法書に集約された知略の宝庫であり、現代においてもビジネスや人間関係など、あらゆる局面で応用できる普遍的な巧智を内包しています。その第三十四計に数えられる「苦肉計」は、敵を欺くために自らを傷つけるという、一見すると常軌を逸した大胆な計略です。

一方、ルノルマンカードは、19世紀初頭のフランスで生まれた占いカードであり、36枚のシンプルな絵柄を通して、人生の様々な側面を映し出します。その34番目に位置する「魚」のカードは、一般的に豊かさ、富、感情、そして流動性を象徴すると解釈されています。

一見すると関連性の薄いこの二つの要素ですが、深く考察することで、状況を打破し、より深い洞察を得るための共通の鍵が見えてきます。今回は、「苦肉計」が持つ自己犠牲の精神と、「魚」が示す感情や豊かさの奥底に潜む意味を探り、実際の鑑定アドバイスへと繋げる道筋を考察します。


敵を欺くための劇的な献身、「苦肉計」の本質

「苦肉計」は、文字通り「苦しみをもって肉を計る」という意味を持ち、自らの苦痛や損害を演出し、相手の警戒心を解いたり、同情を誘ったりすることで、最終的な目的を達成する計略です。この計略の核心には、相手の心理を深く読み解き、その裏をかく巧妙な策略と、目的達成のためには自己犠牲をも厭わない強い意志が存在します。

歴史上の有名な「苦肉計」の例としては、三国志における呉の武将・黄蓋が、曹操を油断させるために味方の前で鞭打ちの刑を受け、偽りの降伏を演じた逸話が挙げられます。この劇的な行動は、曹操軍の油断を誘い、赤壁の戦いにおける呉・蜀連合軍の勝利に大きく貢献しました。

「苦肉計」は、単なる嘘や欺瞞とは一線を画します。それは、相手の感情や認識を根底から揺さぶり、意図する方向へと導くための、緻密に計算された行動なのです。成功の鍵は、演出のリアリティと、相手の心理に対する深い理解にあります。


感情の流れと豊かさ。「魚」が語る多層的な意味

ルノルマンカード34番「魚」は、水の中を自由に泳ぎ回る魚のイメージから、感情の豊かさや深さ、そして絶え間なく流れる豊穣さを象徴します。このカードは、物質的な豊かさだけでなく、精神的な充足感や愛情の深さを表すこともあります。

また、「魚」は水という環境の中で生きることから、無意識の世界や潜在的な可能性を示唆することもあります。感情の奥底に眠る希望的観測や、まだ形になっていない才能、あるいは気づかれていないチャンスなどが、「魚」のカードを通して示唆されることがあるのです。

さらに、「魚」は複数形で表現されることも多く、その場合はより一層、豊かさや多量さといった意味合いが強調されます。ビジネスにおける利益の増加、人間関係における愛情の溢れ、あるいはアイデアの多角的な展開など、「魚」は様々な形での「増殖」や「拡大」を示唆するのです。


「苦肉計」と「魚」の交差点:自己犠牲がもたらす感情の奔流と豊穣

一見すると対照的な「苦肉計」と「魚」ですが、その深層心理を探ることで、意外な共通点が見えてきます。「苦肉計」における自己犠牲は、相手の感情を大きく揺さぶり、同情や信頼といった感情の奔流を生み出すことがあります。この感情の動きは、結果として目的の達成、つまりある種の「豊穣さ」へと繋がる可能性があります。

例えば、ビジネスの場面で、自社の苦境を敢えて公表することで、顧客の共感を得て支援を呼びかけ、結果的に業績を回復させるという戦略は、「苦肉計」の応用と言えるでしょう。この場合、企業の「苦しみ」という自己犠牲が、顧客の同情という感情を呼び起こし、最終的には企業の存続という「豊穣さ」をもたらすのです。

また、人間関係においても、自分の弱みや過去の失敗を率直に打ち明けることで、相手の心を開き、より深い信頼関係を築くことができることがあります。これは、ある意味での自己開示という「苦肉の策」が、相手の共感という感情を生み出し、二人の関係性をより豊かなものにする「魚」のエネルギーに繋がると解釈できます。


鑑定への応用:自己犠牲と感情の動きを見極める

ルノルマン鑑定において「魚」のカードが現れた場合、単純に金銭的な豊かさや感情の充足と解釈するだけでなく、周囲の状況や他のカードとの組み合わせから、より深い意味合いを探る必要があります。もし、他のカードとの関連性の中で、何らかの犠牲や痛みを伴う状況が示唆されている場合、それは「苦肉計」的な要素が働いている可能性を示唆しているかもしれません。

例えば、「魚」のカードの 近くに「十字架」や「棺」といった苦難や終わりを意味するカードが現れた場合、それは単なる感情的な課題や経済的な損失だけでなく、意図的な自己犠牲によって何かを得ようとする状況を示唆している可能性があります。このような場合、鑑定士はクライアントに対して、現状における感情的な動きや、 意識的な、あるいは無意識的な自己犠牲について深く探る必要があるでしょう。

また、「魚」のカードが、希望や願いを示す「星」や「クローバー」といったポジティブなカードと隣接して現れた場合、それは感情的な積み重ねや誠実な努力が、将来的な豊かさや成功に繋がる可能性を示唆していると解釈できます。この場合、「魚」は単なる感情の表れではなく、目標達成のための原動力としての感情の重要性を示唆していると言えるでしょう。


具体的な鑑定例

あるクライアントが、転職活動の状況について鑑定を依頼してきたとします。展開されたカードの中に「魚」があり、その近くに「塔」のカードがありました。「塔」は組織や権威、そして孤立を示すカードです。この組み合わせは、クライアントが現在の職場において、感情的に満たされない状況にあり、孤立感を抱えている可能性を示唆しています。

さらに深く探ると、クライアントは転職活動が難航している現状を打破するために、現在の職場で敢えて難しい仕事に積極的に取り組み、その成果を示すことで、潜在的な雇用主、まだ見ぬ職場への実績アピールを試みていることがわかるでしょう。これは、まさに「苦肉計」的な戦略と言えます。

この鑑定において、「魚」のカードは、クライアントが転職への強い願いと、現状への不満という感情を抱えていることを示しています。そして、「塔」のカードは、その願望を達成するために、現在の職場で敢えて孤立を招くような困難な仕事に挑戦しているという状況を示唆しているのです。

鑑定士は、この状況を踏まえ、クライアントに対して、現在の戦略がリスクを伴うものであることを伝えつつ、その決定力と行動力を評価し、 理想的な成功への道筋を探るアドバイスを行うことができるでしょう。


「苦肉計」と「魚」が織りなす深遠な物語

兵法三十六計の「苦肉計」とルノルマンカードの「魚」は、表面的な意味合いこそ異なりますが、その深層には、目的達成のための具体的な行動と、感情の深い動きという共通のテーマが潜んでいます。「苦肉計」は自己犠牲を通して相手の感情を揺さぶり、目的を達成する戦略であり、「魚」は感情の豊かさや深さ、そしてそれがもたらす豊穣さを示唆します。

ルノルマン鑑定において「魚」のカードが現れた際には、その表面的な意味合いだけでなく、周囲のカードとの関係性から、潜在的な行動や犠牲といった「苦肉計」的な要素が内包されていないかを探ることが重要です。感情の動きの背後にある意図や戦略を読み解くことで、より深く、多角的な鑑定が可能になるでしょう。


「苦肉計」と「魚」。この二つの要素が織りなす深遠な物語は、私たちに、表面的な現象の奥に潜む人間の複雑な心理と、それを読み解くことの重要性を教えてくれるのです。鑑定を通して、クライアントが意識的に、あるいは無意識的に行っている「苦肉の策」を見抜き、その感情の動きを理解することで、真の解決策へと導くことができるはずです。


☯︎言霊占い師りつか☯︎

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