兵法三十六計とルノルマンカードから読み解く⑱
- 言霊占い師りつか
- 2 日前
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信頼という名の王手をかける:兵法三十六計「擒賊擒王」とルノルマン「犬」が示す鑑定の奥義
兵法三十六計。それは古代中国の兵法書に記された、勝利への知略の数々。その第十八計「擒賊擒王(きんぞくきんおう)」は、「賊を擒(とら)えんとすれば、まずその王を擒えよ」と説き、敵を攻略する上で最も重要な中枢を捉えることの有効性を示唆します。
一方、ルノルマンカード。19世紀初頭にフランスで生まれたこの占いツールは、日常の出来事や人間関係を映し出す鏡のような存在です。その18番目に位置する「犬」のカードは、忠誠、友情、信頼といった、人と人との繋がりにおける根幹的な要素を象徴します。
一見すると異なる領域に存在するこの二つの概念ですが、深く考察することで、実際の鑑定において非常に示唆深いアドバイスを与えてくれることに気づかされます。今回は、「擒賊擒王」の戦略的視点と「犬」のカードが持つ関係性の本質を結びつけ、鑑定の現場でどのように活かすことができるのかを探求します。
核心を射抜く戦略眼:「擒賊擒王」が示す鑑定の急所
「擒賊擒王」の教えは、問題解決や目標達成において、表面的な事象に囚われるのではなく、その背後にある最も影響力のある要素、つまり「王」を見つけ出し、そこへ焦点を当てることの重要性を説いています。
鑑定の現場にこの視点を導入すると、クライアントが抱える問題の核心、感情の源泉、状況を動かすキーパーソンなどを特定することの重要性が浮かび上がります。例えば、人間関係の悩みを抱えるクライアントに対し、表面的な言動だけを追うのではなく、その関係性において最も影響力を持つ人物、あるいはクライアント自身の根深い感情パターンといった「王」を見抜くことが、問題解決の糸口となるのです。
ルノルマンカードを展開した際、個々のカードの解釈も重要ですが、全体の流れや配置、そして特定のカードが際立って示すテーマに注目することで、「王」の存在を捉えるヒントが得られます。特に、複数の人間関係を示すカードが集まっていたり、感情や行動原理を示すカードが中心的な位置を占めていたりする場合、それが問題の核心に迫る「王」である可能性が高いと言えるでしょう。

信頼の絆を導く灯:「犬」のカードが照らす人間関係の真実
ルノルマンカード18番「犬」は、信頼という普遍的な価値を象徴します。それは、揺るぎない友情、互いを支え合う仲間、そして裏切らない忠誠心といった、健全な人間関係を築く上で不可欠な要素です。このカードが鑑定に現れた場合、人間関係における信頼の重要性、あるいは信頼できる人物の存在が示唆されていると解釈できます。
クライアントが人間関係の悩みを抱えている場合、「犬」のカードは、信頼できる友人や協力者の存在を思い出させ、孤独感を和らげる力を持つかもしれません。また、もし人間関係におけるトラブルが示唆されている場合、信頼の欠如が問題の根源にある可能性を示唆し、関係修復のためには誠実なコミュニケーションと相互理解が不可欠であることを教えてくれます。
さらに、「犬」のカードは、クライアント自身の信頼性や誠実さを問いかける場合もあります。周囲からの信頼を得るためには、言動一致であること、相手の気持ちに寄り添うこと、そして何よりも誠実であることが求められます。
二つの知恵の融合:鑑定における実践的アドバイス
「擒賊擒王」の戦略的視点と「犬」のカードが持つ信頼の本質を融合させることで、より深く、そして実践的な鑑定アドバイスを提供することが可能になります。具体的な例をいくつか見ていきましょう。
例1:職場の人間関係に悩むクライアント
ルノルマンカードを展開した結果、「犬」のカードが中心に位置し、周囲に「雲」や「鎌」といったネガティブなカードが見られたとします。この場合、「犬」は信頼できる同僚やメンターの存在を示唆する一方で、「雲」や「鎌」は人間関係における不安や対立を示唆していると考えられます。「擒賊擒王」の視点から考えると、問題の核心は特定の人物との信頼関係の欠如、あるいは誤解にある可能性が考えられます。
鑑定のアドバイスとしては、「信頼できる同僚や上司に相談してみることで、状況が打開するかもしれません。また、問題となっている人物とのコミュニケーションにおいては、感情的になるのではなく、冷静に、そして誠実に話し合うことが重要です。表面的な衝突に目を奪われるのではなく、信頼関係を再構築するために何ができるかを考えてみましょう」といったものが考えられます。
例2:恋愛関係に不安を抱えるクライアント
「犬」のカードが「ハート」のカードの近くに現れた場合、二人の間の信頼関係は盤石であると解釈できます。しかし、もし「蛇」や「塔」といったカードが近くにある場合、信頼関係に亀裂が生じている可能性や、孤立感を感じている可能性が考えられます。「擒賊擒王」の視点からは、不安の根本原因が相手の行動にあるのか、あるいは自分自身の過去の経験や恐れにあるのかを見極めることが重要になります。
鑑定のアドバイスとしては、「お二人の間には確かに愛情がありますが、今は少しコミュニケーション不足かもしれません。まずは、お互いの気持ちを率直に話し合う時間を持つことが大切です。もし不安の原因が相手の行動にあると感じるなら、曖昧なままにせず、しっかりと話し合い、信頼関係を再構築していく努力が必要です。また、過去の恋愛経験からくる恐れが原因であるならば、まずは自分自身の心と向き合い、相手を信頼する勇気を持つことも大切です」といったものが考えられます。
例3:新しいプロジェクトへの参加を迷うクライアント
「犬」のカードが「仕事」や「道」のカードと共に出た場合、新しいプロジェクトには信頼できる仲間や協力者がいる可能性を示唆しています。「擒賊擒王」の視点からは、プロジェクトの成功の鍵となるのは、チームワークや協力体制であると考えられます。
鑑定のアドバイスとしては、「新しいプロジェクトには、あなたを支え、共に目標を達成できる信頼できる仲間がいる可能性が高いです。積極的にコミュニケーションを取り、協力体制を築くことで、プロジェクトは成功へと導かれるでしょう。もし不安を感じる点があるならば、信頼できる人に相談してみるのも良いでしょう」といったものが考えられます。
信頼を基盤とした核心へのアプローチを
兵法三十六計「擒賊擒王」が示す核心を捉える戦略と、ルノルマンカード18番「犬」が象徴する信頼という絆。この二つの知恵を融合させることで、鑑定は表面的な事象の羅列に留まらず、問題の本質に迫り、クライアントがより良い未来を築くための具体的で深いアドバイスを提供できるようになります。
鑑定士は、「犬」のカードが示す信頼の光を灯しながら、「擒賊擒王」の鋭い視点で問題の核心を見抜き、クライアントが自らの「王」を見つけ、信頼という名の王手をかけるための道筋を示す。それこそが、この二つの知恵が導く、鑑定の奥義と言えるのではないでしょうか。
今日も、信頼を求める人々の心に、温かい光が灯ることを願ってやみません。
☯︎言霊占い師りつか☯︎